この 手 は 君 と 繋ぐ ため。 #6 響「繋ぐこの手には君を殺す力がある」

傷を庇うこの右手は、君と手を繋ぐ為に。

この 手 は 君 と 繋ぐ ため

「ねえ、ちょっと来てくれない?」 ・・・やっぱり来たか。 POP STAR 1人歩く、放課後の廊下。 耳には、活動中の野球部の音が聞こえる。 あ、今の声、山本だ。 頑張ってるんだな、野球。 そんなことを考えながらも、もっと深く考えていたのは先程のことだった。 「アンタ、調子に乗ってんじゃないの」 「好かれてると思ってるんだったら、とんだ思い込みだよ」 「これ以上、雲雀くんに近付いたら唯じゃおかないから」 ・・・予想は、してたこと。 ヒバリさんを好いてる女の人は沢山居るのは知っていたし、 密かにファンクラブが作られているのも知っていた。 だから、この事態は予想してた。 「そんなこと言われてもなぁ・・・」 そもそも、私がこんな呼び出しを受けるに至った理由は、1つしかない。 原因は、他でも無い、雲雀恭弥。 群れを嫌い、自らを秩序だと謳う、最強の不良であり、とんでもない美形の風紀委員長。 そんな彼に好かれてしまったことが、全ての原因なんだ。 ヒバリさんに気に入られて以来、私は度々応接室に呼び出されるようになった。 それは徐々に頻度を増し、最近では毎日、応接室に通っている。 私が、それを拒まずに彼に従う理由。 別に、ヒバリさんが怖いから従ってるわけじゃない。 でも好きなわけでもない。 だから、毎回、彼の呼び出しには応じた。 ・・・まぁ、最近じゃ、ちょっと気持ちが傾いているんだけど。 そんなことが有って、今日の一件に辿り着いた、というわけだ。 「やあ、じゃないか。 何してるの、こんな所で」 偶然か、必然か。 ことの中心である人物が、私の目の前に現れた。 「・・・ちょっと、職員室に用があって」 「へえ?何かしたのかい」 「何もしてないですよ」 「そう。 じゃあこれから、応接室来る?」 何が"じゃあ"なのかとも思ったが、私は抵抗せずに応接室に着いて行った。 そう、いつものように。 ・・・見られているとも、知らずに。 ++++++++++ 「ちょっと、顔貸しなよ」 翌日。 昨日とは違うけれど、でも確かに同じ場に居た先輩に声を掛けられた。 またか・・・ そう思うも、私は素直について行くことにした。 逆らえば、後が面倒だ。 面倒ごとは、出来れば避けたい。 ・・・まぁ、今のこの状況も充分面倒臭いのに変わりは無いのだけれど。 「昨日、あれだけ言ってやったのに。 未だ分かんないみたいだね」 「言葉だけじゃ、分かんないんじゃん?」 「体に教えてあげたらー?」 「キャハハハ、それ良いじゃん!やっちゃえやっちゃえ!!」 次々と喋り出す3年生たちを、私は無言で見ていた。 綺麗な人たちだけれど・・・心は腐ってるな。 ヒバリさんの嫌いなタイプかも。 群れじゃないと行動出来ないみたいだし。 そんな、半ば蔑んだような目が気に喰わなかったらしい。 喋っている途中、1人が急に無表情になり、私の顔を殴りつけた。 それでも相手を睨み返すと、更に殴られた。 「何、その目!?ちょっと雲雀くんに構って貰えてるからって良い気に成らないでよ!?」 「そうよ。 雲雀くん、暇潰しなだけで、アンタのことなんか何とも思ってないんだから」 ・・・別に、私だって、そんなこと思ってない。 きっと、気紛れで選ばれた玩具なんだろうとか、そんな風にも考えた。 そして、ちょっと切なくなったりもした。 でも、そんなことを、こんな人たちに言われる筋合いは無い。 再度睨み返すと、最後に腹に一発の蹴りが入る。 思わず咳き込む私を見下ろして、彼女たちは吐き捨てるようにして言った。 「これでも分からないなら、次は保障はしないからね」 複数の足跡が去っていくのを、蹲った儘の状態で聞いていた。 蹴られた腹が痛む。 殴られた頬が痛む。 でも、それ以上に・・・心が、痛んだ。 気付きたくないことに、考えたくないことに、触れられてしまったから。 自分の、気持ちにも。 気付いて、しまったから。 「・・・ヒバリさんには、バレないようにしないとなぁ」 それが、私に出来ることだと思った。 私が、変わりなくヒバリさんの傍に居られるには、それしかないと思った。 面倒な女だと、切り捨てられるのが怖かった。 「・・・どうしたの、それ」 殴られて、思考能力迄低下したのか。 昨日と同じ道を通ってしまい、うっかりヒバリさんと遭遇してしまった。 「ねえ、。 どうしたの」 「・・・何でも無いです。 ちょっと、ぶつけちゃって」 バレるわけにはいかない。 そんな気分では無かったが、精一杯の笑顔を作り、精一杯の嘘を吐いた。 それでも、ヒバリさんの怪訝そうな顔は変わらない。 ・・・まあ、当たり前か。 「御免なさい、ちょっと今日はもう帰らないといけないんです。 さようなら」 「・・・そう、気を付けてね。 また明日」 「はい、また明日」 私は、会話を終えると逃げるように去った。 不自然に思われたことは必至。 でもこれが、今の私の精一杯。 「もしもし、僕だけど。 ちょっと、調べて欲しいことがあるんだ」 ヒバリさんの、そんな言葉も聞こえなかった。 ++++++++++ 翌日。 頬の腫れも大体引いたけれど、薄く痣が残ってしまった。 それをファンデーションで隠し、登校すると、校門にヒバリさんが立っていた。 今日は、風紀委員の検査の日だったことを思い出す。 当然、私はヒバリさんに捕まるわけで・・・ 「放課後、応接室に来て」 「・・・分かりました」 簡単なチェックをしながら、ヒバリさんはそう耳打ちした。 痣は隠した筈の頬に、視線が行っていたことには、気付かない振りをして。 そのすぐ後。 下駄箱を開けると、1枚の紙切れ。 "放課後、屋上に来い" 一読して、すぐさまその紙をポケットにしまう。 「・・・何で、全部読まれてるのかな」 さて、どうしようかと考えながら教室に着き、友人と軽い談笑。 その後、ヒバリさんにメールを打った。 "放課後、行くの少し遅れます" 送信完了のメッセージを確認し、私はケータイの電源を切った。 ++++++++++ HR終了後。 すぐに屋上に行くと、其処には既に複数の3年生が立っていた。 その数は、明らかに昨日よりも増えている。 「ちゃんと来るなんて、中々やるじゃん」 リーダー格と思われる、昨日私を殴りつけた女がそう言うと、周りは一斉に私を取り囲んだ。 そう思うも束の間、すぐさま、後ろから取り押さえられた。 両腕を、肩から2人に掴まれている、そんな状態。 「昨日は体にも教えてやったのに・・・未だ分かんないみたいだね?」 じりじりと、正面から近付いてくる、リーダー格の女。 「あれだけ言ってやったのに、未だ応接室に行く気で居たね?」 リーダー格に合わせて、他の3年生たちも動き出す。 ホント、1人じゃ行動出来ないのか、この人たちは。 そう考えている内に、リーダー格はもうすぐ目の前に迄来ていた。 「言ったよね?次は保障しない、って」 その言葉と略同時に、取り出されたもの。 光を集めて輝くそれに映された私は、酷く格好悪い姿をしていた。 「あたし、言ったことはちゃんと実行するタイプなのよ、ね!!」 振り上げられた腕。 あ、今回ばかりはちょっとヤバイかも・・・ そう思い、固く目を瞑る。 何処切られるんだろう。 血は・・・足りるかな、大丈夫かな。 そんなことを考えている私に聞こえてきたのは、私を切り付ける音ではなく・・・ 「キャア!?」 「え、何!?」 「何してんの、君」 悲鳴に驚き、目を開けた私の視界に飛び込んで来たのは、 振り上げた腕をトンファーで制止する、ヒバリさんの姿だった。 「雲雀くん!?」 「・・・咬み殺されたくなかったら消えてくれる。 群れと、に手を出すような奴は許せないんだ。 ・・・虫唾が走る」 初めて見る、ヒバリさんの表情。 初めて聞く、ヒバリさんの声。 私を囲んでいた先輩たちは、一目散に走って逃げていった。 数人に至っては、泣いていたようにも思える。 当然、私を取り押さえていた2人も逃げて行ったわけで、 彼女たちに体を任せていた私は当然の如く、その場に崩れ落ちた。 顔を上げられずに居る私に、歩み寄ってくる足音が聞こえた。 「何で、黙ってたの」 声が、近くで聞こえる。 しゃがみ込んでくれているのだろうか。 「ねえ、。 何で黙ってたの」 バレてしまったこと、ヒバリさんの手を煩わせて仕舞ったこと。 そこから発展して考えられる、様々なこと・・・ 色々な気持ちが混ざって、絡まって、顔を上げられずに居ると、 ヒバリさんは、そっと私の頬に手を添えて顔を上げさせた。 ・・・ヒバリさんは、また、見たことの無いような顔をしていた。 「御免」 そう、一言呟くと。 そのまま、私を抱き締めた。 思ってみれば、ヒバリさんに触れられたのは、これがはじめてだったような気がする。 そう考えると、尚更動揺して仕舞うもので・・・ 「え、あの、ヒバ・・・」 「僕は」 「え?」 「僕は、君が思ってる以上に、君のことを大切に想ってる。 君だけは、ずっと傍に居て欲しいと・・・ だから・・・」 その一言を境に、更にきつく、抱き締めてくる。 まるで、私を離さないとでも言うかのように、強く、強く。 「御願いだから、僕をもっと頼ってよ」 「・・・ヒバリさん・・・」 漸く、力の緩む腕。 やっと離したかと思うと、次の瞬間には私を正面に据え、欲しかった一言を。 「のことが、好きなんだ」 私が、心の何処かで、ずっと欲しがっていた一言を、くれた。 「のこと、僕がずっと守るから・・・傍に、居てよ」 「・・・はい」 "居てよ"っていうのが、何ともヒバリさんらしくて、それが嬉しくて。 思わず笑顔に成って、YESの返事をしたら、ヒバリさんも微笑んでくれた。 今日は、見たこと無かったヒバリさんの表情を3つも見られた。 そんなことを考えながらまた笑ったら、今度はキスをくれた。 まるで、彼自身を表しているかのように・・・ とても優しくて、とても柔らかかった。 「で、何だったの?あの女共」 「ヒバリさんのファンクラブの3年生かと・・・」 「・・・そんなの有るの?」 「知らなかったんですか?」 「・・・ウザイなぁ。 咬み殺したくなる・・・」 「お、落ち着いて下さい、ヒバリさん!」 しっかりと、手を繋いで。 一昨日、昨日と、ヒバリさんに出逢った廊下を、今日は2人で歩く。 勿論、行き先は応接室。 「ところでさ、」 「なんですか?ヒバリさん」 「その敬語と、呼び方。 やめてよ」 「え、じゃあ何て・・・」 「・・・恭弥、って呼んで」 「え!?あ、あー・・・きょ、恭弥・・・」 「うん、良く出来ました」 繋いだこの手を、離さないように。 私も、貴方を守りたい。 そして、これからきっと、もっと。 私は、貴方に夢中に成る。 ++++++++++++++++++++ 参万打多謝企画・海様リクのヒバリ夢です! 御希望の設定が、雲雀を好きな先輩から呼び出しされるが、雲雀に助けてもらう、というものでした。 が・・・こんなんで、如何でしょうか・・・???無駄に長くてスミマセン; 何か有りがちな話に成って仕舞ったのでしょぼんなんですけれど、 ヒロインの色んな葛藤とか、そういうのが書ければ良いなと思って書きました。 因みに、ヒバリの電話の相手は風紀委員です。 草壁さんかな 笑。 あ、あと、隠しテーマが有ります。 タイトルのとおり『POP STAR』です。 歌詞をちょっと、ね。 クフフ。 宜しければ、感想御聞かせ下さいね。 この度は、企画に御参加下さり誠に有難う御座いました!! 20051230 POP STAR アルカロイド/蝶子 [PR].

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きみの て Every Little Thing 歌詞情報

この 手 は 君 と 繋ぐ ため

「ねえ、ちょっと来てくれない?」 ・・・やっぱり来たか。 POP STAR 1人歩く、放課後の廊下。 耳には、活動中の野球部の音が聞こえる。 あ、今の声、山本だ。 頑張ってるんだな、野球。 そんなことを考えながらも、もっと深く考えていたのは先程のことだった。 「アンタ、調子に乗ってんじゃないの」 「好かれてると思ってるんだったら、とんだ思い込みだよ」 「これ以上、雲雀くんに近付いたら唯じゃおかないから」 ・・・予想は、してたこと。 ヒバリさんを好いてる女の人は沢山居るのは知っていたし、 密かにファンクラブが作られているのも知っていた。 だから、この事態は予想してた。 「そんなこと言われてもなぁ・・・」 そもそも、私がこんな呼び出しを受けるに至った理由は、1つしかない。 原因は、他でも無い、雲雀恭弥。 群れを嫌い、自らを秩序だと謳う、最強の不良であり、とんでもない美形の風紀委員長。 そんな彼に好かれてしまったことが、全ての原因なんだ。 ヒバリさんに気に入られて以来、私は度々応接室に呼び出されるようになった。 それは徐々に頻度を増し、最近では毎日、応接室に通っている。 私が、それを拒まずに彼に従う理由。 別に、ヒバリさんが怖いから従ってるわけじゃない。 でも好きなわけでもない。 だから、毎回、彼の呼び出しには応じた。 ・・・まぁ、最近じゃ、ちょっと気持ちが傾いているんだけど。 そんなことが有って、今日の一件に辿り着いた、というわけだ。 「やあ、じゃないか。 何してるの、こんな所で」 偶然か、必然か。 ことの中心である人物が、私の目の前に現れた。 「・・・ちょっと、職員室に用があって」 「へえ?何かしたのかい」 「何もしてないですよ」 「そう。 じゃあこれから、応接室来る?」 何が"じゃあ"なのかとも思ったが、私は抵抗せずに応接室に着いて行った。 そう、いつものように。 ・・・見られているとも、知らずに。 ++++++++++ 「ちょっと、顔貸しなよ」 翌日。 昨日とは違うけれど、でも確かに同じ場に居た先輩に声を掛けられた。 またか・・・ そう思うも、私は素直について行くことにした。 逆らえば、後が面倒だ。 面倒ごとは、出来れば避けたい。 ・・・まぁ、今のこの状況も充分面倒臭いのに変わりは無いのだけれど。 「昨日、あれだけ言ってやったのに。 未だ分かんないみたいだね」 「言葉だけじゃ、分かんないんじゃん?」 「体に教えてあげたらー?」 「キャハハハ、それ良いじゃん!やっちゃえやっちゃえ!!」 次々と喋り出す3年生たちを、私は無言で見ていた。 綺麗な人たちだけれど・・・心は腐ってるな。 ヒバリさんの嫌いなタイプかも。 群れじゃないと行動出来ないみたいだし。 そんな、半ば蔑んだような目が気に喰わなかったらしい。 喋っている途中、1人が急に無表情になり、私の顔を殴りつけた。 それでも相手を睨み返すと、更に殴られた。 「何、その目!?ちょっと雲雀くんに構って貰えてるからって良い気に成らないでよ!?」 「そうよ。 雲雀くん、暇潰しなだけで、アンタのことなんか何とも思ってないんだから」 ・・・別に、私だって、そんなこと思ってない。 きっと、気紛れで選ばれた玩具なんだろうとか、そんな風にも考えた。 そして、ちょっと切なくなったりもした。 でも、そんなことを、こんな人たちに言われる筋合いは無い。 再度睨み返すと、最後に腹に一発の蹴りが入る。 思わず咳き込む私を見下ろして、彼女たちは吐き捨てるようにして言った。 「これでも分からないなら、次は保障はしないからね」 複数の足跡が去っていくのを、蹲った儘の状態で聞いていた。 蹴られた腹が痛む。 殴られた頬が痛む。 でも、それ以上に・・・心が、痛んだ。 気付きたくないことに、考えたくないことに、触れられてしまったから。 自分の、気持ちにも。 気付いて、しまったから。 「・・・ヒバリさんには、バレないようにしないとなぁ」 それが、私に出来ることだと思った。 私が、変わりなくヒバリさんの傍に居られるには、それしかないと思った。 面倒な女だと、切り捨てられるのが怖かった。 「・・・どうしたの、それ」 殴られて、思考能力迄低下したのか。 昨日と同じ道を通ってしまい、うっかりヒバリさんと遭遇してしまった。 「ねえ、。 どうしたの」 「・・・何でも無いです。 ちょっと、ぶつけちゃって」 バレるわけにはいかない。 そんな気分では無かったが、精一杯の笑顔を作り、精一杯の嘘を吐いた。 それでも、ヒバリさんの怪訝そうな顔は変わらない。 ・・・まあ、当たり前か。 「御免なさい、ちょっと今日はもう帰らないといけないんです。 さようなら」 「・・・そう、気を付けてね。 また明日」 「はい、また明日」 私は、会話を終えると逃げるように去った。 不自然に思われたことは必至。 でもこれが、今の私の精一杯。 「もしもし、僕だけど。 ちょっと、調べて欲しいことがあるんだ」 ヒバリさんの、そんな言葉も聞こえなかった。 ++++++++++ 翌日。 頬の腫れも大体引いたけれど、薄く痣が残ってしまった。 それをファンデーションで隠し、登校すると、校門にヒバリさんが立っていた。 今日は、風紀委員の検査の日だったことを思い出す。 当然、私はヒバリさんに捕まるわけで・・・ 「放課後、応接室に来て」 「・・・分かりました」 簡単なチェックをしながら、ヒバリさんはそう耳打ちした。 痣は隠した筈の頬に、視線が行っていたことには、気付かない振りをして。 そのすぐ後。 下駄箱を開けると、1枚の紙切れ。 "放課後、屋上に来い" 一読して、すぐさまその紙をポケットにしまう。 「・・・何で、全部読まれてるのかな」 さて、どうしようかと考えながら教室に着き、友人と軽い談笑。 その後、ヒバリさんにメールを打った。 "放課後、行くの少し遅れます" 送信完了のメッセージを確認し、私はケータイの電源を切った。 ++++++++++ HR終了後。 すぐに屋上に行くと、其処には既に複数の3年生が立っていた。 その数は、明らかに昨日よりも増えている。 「ちゃんと来るなんて、中々やるじゃん」 リーダー格と思われる、昨日私を殴りつけた女がそう言うと、周りは一斉に私を取り囲んだ。 そう思うも束の間、すぐさま、後ろから取り押さえられた。 両腕を、肩から2人に掴まれている、そんな状態。 「昨日は体にも教えてやったのに・・・未だ分かんないみたいだね?」 じりじりと、正面から近付いてくる、リーダー格の女。 「あれだけ言ってやったのに、未だ応接室に行く気で居たね?」 リーダー格に合わせて、他の3年生たちも動き出す。 ホント、1人じゃ行動出来ないのか、この人たちは。 そう考えている内に、リーダー格はもうすぐ目の前に迄来ていた。 「言ったよね?次は保障しない、って」 その言葉と略同時に、取り出されたもの。 光を集めて輝くそれに映された私は、酷く格好悪い姿をしていた。 「あたし、言ったことはちゃんと実行するタイプなのよ、ね!!」 振り上げられた腕。 あ、今回ばかりはちょっとヤバイかも・・・ そう思い、固く目を瞑る。 何処切られるんだろう。 血は・・・足りるかな、大丈夫かな。 そんなことを考えている私に聞こえてきたのは、私を切り付ける音ではなく・・・ 「キャア!?」 「え、何!?」 「何してんの、君」 悲鳴に驚き、目を開けた私の視界に飛び込んで来たのは、 振り上げた腕をトンファーで制止する、ヒバリさんの姿だった。 「雲雀くん!?」 「・・・咬み殺されたくなかったら消えてくれる。 群れと、に手を出すような奴は許せないんだ。 ・・・虫唾が走る」 初めて見る、ヒバリさんの表情。 初めて聞く、ヒバリさんの声。 私を囲んでいた先輩たちは、一目散に走って逃げていった。 数人に至っては、泣いていたようにも思える。 当然、私を取り押さえていた2人も逃げて行ったわけで、 彼女たちに体を任せていた私は当然の如く、その場に崩れ落ちた。 顔を上げられずに居る私に、歩み寄ってくる足音が聞こえた。 「何で、黙ってたの」 声が、近くで聞こえる。 しゃがみ込んでくれているのだろうか。 「ねえ、。 何で黙ってたの」 バレてしまったこと、ヒバリさんの手を煩わせて仕舞ったこと。 そこから発展して考えられる、様々なこと・・・ 色々な気持ちが混ざって、絡まって、顔を上げられずに居ると、 ヒバリさんは、そっと私の頬に手を添えて顔を上げさせた。 ・・・ヒバリさんは、また、見たことの無いような顔をしていた。 「御免」 そう、一言呟くと。 そのまま、私を抱き締めた。 思ってみれば、ヒバリさんに触れられたのは、これがはじめてだったような気がする。 そう考えると、尚更動揺して仕舞うもので・・・ 「え、あの、ヒバ・・・」 「僕は」 「え?」 「僕は、君が思ってる以上に、君のことを大切に想ってる。 君だけは、ずっと傍に居て欲しいと・・・ だから・・・」 その一言を境に、更にきつく、抱き締めてくる。 まるで、私を離さないとでも言うかのように、強く、強く。 「御願いだから、僕をもっと頼ってよ」 「・・・ヒバリさん・・・」 漸く、力の緩む腕。 やっと離したかと思うと、次の瞬間には私を正面に据え、欲しかった一言を。 「のことが、好きなんだ」 私が、心の何処かで、ずっと欲しがっていた一言を、くれた。 「のこと、僕がずっと守るから・・・傍に、居てよ」 「・・・はい」 "居てよ"っていうのが、何ともヒバリさんらしくて、それが嬉しくて。 思わず笑顔に成って、YESの返事をしたら、ヒバリさんも微笑んでくれた。 今日は、見たこと無かったヒバリさんの表情を3つも見られた。 そんなことを考えながらまた笑ったら、今度はキスをくれた。 まるで、彼自身を表しているかのように・・・ とても優しくて、とても柔らかかった。 「で、何だったの?あの女共」 「ヒバリさんのファンクラブの3年生かと・・・」 「・・・そんなの有るの?」 「知らなかったんですか?」 「・・・ウザイなぁ。 咬み殺したくなる・・・」 「お、落ち着いて下さい、ヒバリさん!」 しっかりと、手を繋いで。 一昨日、昨日と、ヒバリさんに出逢った廊下を、今日は2人で歩く。 勿論、行き先は応接室。 「ところでさ、」 「なんですか?ヒバリさん」 「その敬語と、呼び方。 やめてよ」 「え、じゃあ何て・・・」 「・・・恭弥、って呼んで」 「え!?あ、あー・・・きょ、恭弥・・・」 「うん、良く出来ました」 繋いだこの手を、離さないように。 私も、貴方を守りたい。 そして、これからきっと、もっと。 私は、貴方に夢中に成る。 ++++++++++++++++++++ 参万打多謝企画・海様リクのヒバリ夢です! 御希望の設定が、雲雀を好きな先輩から呼び出しされるが、雲雀に助けてもらう、というものでした。 が・・・こんなんで、如何でしょうか・・・???無駄に長くてスミマセン; 何か有りがちな話に成って仕舞ったのでしょぼんなんですけれど、 ヒロインの色んな葛藤とか、そういうのが書ければ良いなと思って書きました。 因みに、ヒバリの電話の相手は風紀委員です。 草壁さんかな 笑。 あ、あと、隠しテーマが有ります。 タイトルのとおり『POP STAR』です。 歌詞をちょっと、ね。 クフフ。 宜しければ、感想御聞かせ下さいね。 この度は、企画に御参加下さり誠に有難う御座いました!! 20051230 POP STAR アルカロイド/蝶子 [PR].

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[歌詞] fripSide

この 手 は 君 と 繋ぐ ため

「ねえ、ちょっと来てくれない?」 ・・・やっぱり来たか。 POP STAR 1人歩く、放課後の廊下。 耳には、活動中の野球部の音が聞こえる。 あ、今の声、山本だ。 頑張ってるんだな、野球。 そんなことを考えながらも、もっと深く考えていたのは先程のことだった。 「アンタ、調子に乗ってんじゃないの」 「好かれてると思ってるんだったら、とんだ思い込みだよ」 「これ以上、雲雀くんに近付いたら唯じゃおかないから」 ・・・予想は、してたこと。 ヒバリさんを好いてる女の人は沢山居るのは知っていたし、 密かにファンクラブが作られているのも知っていた。 だから、この事態は予想してた。 「そんなこと言われてもなぁ・・・」 そもそも、私がこんな呼び出しを受けるに至った理由は、1つしかない。 原因は、他でも無い、雲雀恭弥。 群れを嫌い、自らを秩序だと謳う、最強の不良であり、とんでもない美形の風紀委員長。 そんな彼に好かれてしまったことが、全ての原因なんだ。 ヒバリさんに気に入られて以来、私は度々応接室に呼び出されるようになった。 それは徐々に頻度を増し、最近では毎日、応接室に通っている。 私が、それを拒まずに彼に従う理由。 別に、ヒバリさんが怖いから従ってるわけじゃない。 でも好きなわけでもない。 だから、毎回、彼の呼び出しには応じた。 ・・・まぁ、最近じゃ、ちょっと気持ちが傾いているんだけど。 そんなことが有って、今日の一件に辿り着いた、というわけだ。 「やあ、じゃないか。 何してるの、こんな所で」 偶然か、必然か。 ことの中心である人物が、私の目の前に現れた。 「・・・ちょっと、職員室に用があって」 「へえ?何かしたのかい」 「何もしてないですよ」 「そう。 じゃあこれから、応接室来る?」 何が"じゃあ"なのかとも思ったが、私は抵抗せずに応接室に着いて行った。 そう、いつものように。 ・・・見られているとも、知らずに。 ++++++++++ 「ちょっと、顔貸しなよ」 翌日。 昨日とは違うけれど、でも確かに同じ場に居た先輩に声を掛けられた。 またか・・・ そう思うも、私は素直について行くことにした。 逆らえば、後が面倒だ。 面倒ごとは、出来れば避けたい。 ・・・まぁ、今のこの状況も充分面倒臭いのに変わりは無いのだけれど。 「昨日、あれだけ言ってやったのに。 未だ分かんないみたいだね」 「言葉だけじゃ、分かんないんじゃん?」 「体に教えてあげたらー?」 「キャハハハ、それ良いじゃん!やっちゃえやっちゃえ!!」 次々と喋り出す3年生たちを、私は無言で見ていた。 綺麗な人たちだけれど・・・心は腐ってるな。 ヒバリさんの嫌いなタイプかも。 群れじゃないと行動出来ないみたいだし。 そんな、半ば蔑んだような目が気に喰わなかったらしい。 喋っている途中、1人が急に無表情になり、私の顔を殴りつけた。 それでも相手を睨み返すと、更に殴られた。 「何、その目!?ちょっと雲雀くんに構って貰えてるからって良い気に成らないでよ!?」 「そうよ。 雲雀くん、暇潰しなだけで、アンタのことなんか何とも思ってないんだから」 ・・・別に、私だって、そんなこと思ってない。 きっと、気紛れで選ばれた玩具なんだろうとか、そんな風にも考えた。 そして、ちょっと切なくなったりもした。 でも、そんなことを、こんな人たちに言われる筋合いは無い。 再度睨み返すと、最後に腹に一発の蹴りが入る。 思わず咳き込む私を見下ろして、彼女たちは吐き捨てるようにして言った。 「これでも分からないなら、次は保障はしないからね」 複数の足跡が去っていくのを、蹲った儘の状態で聞いていた。 蹴られた腹が痛む。 殴られた頬が痛む。 でも、それ以上に・・・心が、痛んだ。 気付きたくないことに、考えたくないことに、触れられてしまったから。 自分の、気持ちにも。 気付いて、しまったから。 「・・・ヒバリさんには、バレないようにしないとなぁ」 それが、私に出来ることだと思った。 私が、変わりなくヒバリさんの傍に居られるには、それしかないと思った。 面倒な女だと、切り捨てられるのが怖かった。 「・・・どうしたの、それ」 殴られて、思考能力迄低下したのか。 昨日と同じ道を通ってしまい、うっかりヒバリさんと遭遇してしまった。 「ねえ、。 どうしたの」 「・・・何でも無いです。 ちょっと、ぶつけちゃって」 バレるわけにはいかない。 そんな気分では無かったが、精一杯の笑顔を作り、精一杯の嘘を吐いた。 それでも、ヒバリさんの怪訝そうな顔は変わらない。 ・・・まあ、当たり前か。 「御免なさい、ちょっと今日はもう帰らないといけないんです。 さようなら」 「・・・そう、気を付けてね。 また明日」 「はい、また明日」 私は、会話を終えると逃げるように去った。 不自然に思われたことは必至。 でもこれが、今の私の精一杯。 「もしもし、僕だけど。 ちょっと、調べて欲しいことがあるんだ」 ヒバリさんの、そんな言葉も聞こえなかった。 ++++++++++ 翌日。 頬の腫れも大体引いたけれど、薄く痣が残ってしまった。 それをファンデーションで隠し、登校すると、校門にヒバリさんが立っていた。 今日は、風紀委員の検査の日だったことを思い出す。 当然、私はヒバリさんに捕まるわけで・・・ 「放課後、応接室に来て」 「・・・分かりました」 簡単なチェックをしながら、ヒバリさんはそう耳打ちした。 痣は隠した筈の頬に、視線が行っていたことには、気付かない振りをして。 そのすぐ後。 下駄箱を開けると、1枚の紙切れ。 "放課後、屋上に来い" 一読して、すぐさまその紙をポケットにしまう。 「・・・何で、全部読まれてるのかな」 さて、どうしようかと考えながら教室に着き、友人と軽い談笑。 その後、ヒバリさんにメールを打った。 "放課後、行くの少し遅れます" 送信完了のメッセージを確認し、私はケータイの電源を切った。 ++++++++++ HR終了後。 すぐに屋上に行くと、其処には既に複数の3年生が立っていた。 その数は、明らかに昨日よりも増えている。 「ちゃんと来るなんて、中々やるじゃん」 リーダー格と思われる、昨日私を殴りつけた女がそう言うと、周りは一斉に私を取り囲んだ。 そう思うも束の間、すぐさま、後ろから取り押さえられた。 両腕を、肩から2人に掴まれている、そんな状態。 「昨日は体にも教えてやったのに・・・未だ分かんないみたいだね?」 じりじりと、正面から近付いてくる、リーダー格の女。 「あれだけ言ってやったのに、未だ応接室に行く気で居たね?」 リーダー格に合わせて、他の3年生たちも動き出す。 ホント、1人じゃ行動出来ないのか、この人たちは。 そう考えている内に、リーダー格はもうすぐ目の前に迄来ていた。 「言ったよね?次は保障しない、って」 その言葉と略同時に、取り出されたもの。 光を集めて輝くそれに映された私は、酷く格好悪い姿をしていた。 「あたし、言ったことはちゃんと実行するタイプなのよ、ね!!」 振り上げられた腕。 あ、今回ばかりはちょっとヤバイかも・・・ そう思い、固く目を瞑る。 何処切られるんだろう。 血は・・・足りるかな、大丈夫かな。 そんなことを考えている私に聞こえてきたのは、私を切り付ける音ではなく・・・ 「キャア!?」 「え、何!?」 「何してんの、君」 悲鳴に驚き、目を開けた私の視界に飛び込んで来たのは、 振り上げた腕をトンファーで制止する、ヒバリさんの姿だった。 「雲雀くん!?」 「・・・咬み殺されたくなかったら消えてくれる。 群れと、に手を出すような奴は許せないんだ。 ・・・虫唾が走る」 初めて見る、ヒバリさんの表情。 初めて聞く、ヒバリさんの声。 私を囲んでいた先輩たちは、一目散に走って逃げていった。 数人に至っては、泣いていたようにも思える。 当然、私を取り押さえていた2人も逃げて行ったわけで、 彼女たちに体を任せていた私は当然の如く、その場に崩れ落ちた。 顔を上げられずに居る私に、歩み寄ってくる足音が聞こえた。 「何で、黙ってたの」 声が、近くで聞こえる。 しゃがみ込んでくれているのだろうか。 「ねえ、。 何で黙ってたの」 バレてしまったこと、ヒバリさんの手を煩わせて仕舞ったこと。 そこから発展して考えられる、様々なこと・・・ 色々な気持ちが混ざって、絡まって、顔を上げられずに居ると、 ヒバリさんは、そっと私の頬に手を添えて顔を上げさせた。 ・・・ヒバリさんは、また、見たことの無いような顔をしていた。 「御免」 そう、一言呟くと。 そのまま、私を抱き締めた。 思ってみれば、ヒバリさんに触れられたのは、これがはじめてだったような気がする。 そう考えると、尚更動揺して仕舞うもので・・・ 「え、あの、ヒバ・・・」 「僕は」 「え?」 「僕は、君が思ってる以上に、君のことを大切に想ってる。 君だけは、ずっと傍に居て欲しいと・・・ だから・・・」 その一言を境に、更にきつく、抱き締めてくる。 まるで、私を離さないとでも言うかのように、強く、強く。 「御願いだから、僕をもっと頼ってよ」 「・・・ヒバリさん・・・」 漸く、力の緩む腕。 やっと離したかと思うと、次の瞬間には私を正面に据え、欲しかった一言を。 「のことが、好きなんだ」 私が、心の何処かで、ずっと欲しがっていた一言を、くれた。 「のこと、僕がずっと守るから・・・傍に、居てよ」 「・・・はい」 "居てよ"っていうのが、何ともヒバリさんらしくて、それが嬉しくて。 思わず笑顔に成って、YESの返事をしたら、ヒバリさんも微笑んでくれた。 今日は、見たこと無かったヒバリさんの表情を3つも見られた。 そんなことを考えながらまた笑ったら、今度はキスをくれた。 まるで、彼自身を表しているかのように・・・ とても優しくて、とても柔らかかった。 「で、何だったの?あの女共」 「ヒバリさんのファンクラブの3年生かと・・・」 「・・・そんなの有るの?」 「知らなかったんですか?」 「・・・ウザイなぁ。 咬み殺したくなる・・・」 「お、落ち着いて下さい、ヒバリさん!」 しっかりと、手を繋いで。 一昨日、昨日と、ヒバリさんに出逢った廊下を、今日は2人で歩く。 勿論、行き先は応接室。 「ところでさ、」 「なんですか?ヒバリさん」 「その敬語と、呼び方。 やめてよ」 「え、じゃあ何て・・・」 「・・・恭弥、って呼んで」 「え!?あ、あー・・・きょ、恭弥・・・」 「うん、良く出来ました」 繋いだこの手を、離さないように。 私も、貴方を守りたい。 そして、これからきっと、もっと。 私は、貴方に夢中に成る。 ++++++++++++++++++++ 参万打多謝企画・海様リクのヒバリ夢です! 御希望の設定が、雲雀を好きな先輩から呼び出しされるが、雲雀に助けてもらう、というものでした。 が・・・こんなんで、如何でしょうか・・・???無駄に長くてスミマセン; 何か有りがちな話に成って仕舞ったのでしょぼんなんですけれど、 ヒロインの色んな葛藤とか、そういうのが書ければ良いなと思って書きました。 因みに、ヒバリの電話の相手は風紀委員です。 草壁さんかな 笑。 あ、あと、隠しテーマが有ります。 タイトルのとおり『POP STAR』です。 歌詞をちょっと、ね。 クフフ。 宜しければ、感想御聞かせ下さいね。 この度は、企画に御参加下さり誠に有難う御座いました!! 20051230 POP STAR アルカロイド/蝶子 [PR].

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